色を見るための3つの条件と見え方

色の正体は光で、光の正体は波(波長)そして色の違いは波の長さの違いということが分かりました。

そして、人が波長の違いを色でを捉えるためには、3つの条件が不可欠になります。なぜ、その3つの条件が揃わないと色を見ることができないのでしょうか?

目次

色を見るときの条件とは?

色は、光(光源)物(物体)視覚(目と脳)この3つの条件が揃って見える現象です。

光(光源)→月も星も出ていない山の中を想像してください。そこにリンゴがあっても見えますか?

光(光源)→月も星も出ていてうっすら明るい山の中を想像してください。そこにリンゴが無くてもリンゴが見えますか?

光(光源)やリンゴがあります→目を閉じてください。光が目に入って来ませんがリンゴは見えますか?

このように、色は、光(光源)物(物体)視覚(目と脳)この3つの条件の1つが欠けても、色を見ることができません。

では、人が色を見ている状態とはどのようなことなのでしょうか?

太陽のように自ら光を発するものを、光源といいます。光源からの光が物体に当たると、ある波長は反射され、ある波長は吸収されるのです。

例えば、黄色の物体ならば、だいたい500nm~600nmの中波長と、600nm~700nmの長波長を反射し、400nm~500nmの短波長を吸収するといった具合です。

反射された波長は人の眼に入り、視細胞を刺激して、その信号が脳に伝わり処理され、ここではじめて色があることを感じるのです。

光源色と物体色で色の見え方が違う

(光源)物(物体)視覚(脳)この3つがそ揃って色は認知されますが、物体に当たった光は、吸収されるか、反射するか、透過するか、のいずれかの3つの形を取ります。

太陽などの光源の光がそのまま目に届き、感じる色を「光源色といいます。

これに対して、光源からの光が物体に当たり表面で反射した光が目に届き、感じる色を「物体色」といいます。

「物体色」には光が物体に反射した表面色と透過した透過色があります。

光が物体にあたる3つの反応とは?

光は物体に当たると、波長を吸収するか、透過するか、反射するかの3つの反応をします。物体自体にもともとの色はありません。

吸収

光が物体に吸収され、一部が熱などのエネルギーに変わります。全てが吸収されると、物体は色を持たない、黒として知覚されます。

透過(物体色)

透明の物体の場合、吸収されない光の残りが透過され、色として知覚されます。

(透過色)ガラスは光を通過させるので、色が透けてみえます。光が通過することを、透過と言います。(透明ガラスの場合は、光は直進して正透過しますが、すりガラスの場合は光が散って拡散透過します。)

反射には1,表面反射と2,選択反射がある

1,表面反射

①正反射(斜面反射)

鏡のように平滑な面では、入射した光は、入射角と反射角が等しい一方向にだけ反射します。(反射の法則)

②拡散反射(乱反射)

凹凸がある物体表面では、入射光は不規則な方向に反射されます。分光分布は変わらず、白色光があたる場合、白色光のまま反射され、物体の表面反射は散乱光の場合が多いです。

2,選択反射

物体にあたった光の一部が吸収され(選択吸収)、残りが反射光となります。反射光は分光分布が変わり、それが物体の色として知覚されます。(表面色)

リンゴはなぜ赤色?

赤いリンゴの色は、リンゴの皮に含まれる赤色のもとになるアントシアニンという色素により、

 太陽光の380nm~600nmの波長の光が吸収され、600nm以上の波長の光が多く反射されることにより赤く見えます。

 600nm以下の短波長の光をリンゴにあてても、ほとんど吸収されてしまい、赤いはずのリンゴが黒く見えることもあります。

葉っぱはなぜ緑色?

植物の葉が緑色なのは、葉の中に含まれるクロロフィルが緑色の波長域を反射し他の色を吸収して光合成をしているためではないかと言われています。

このように物体の色と光は密接した理由があり、目と脳の反応によりいろいろな色感じて、楽しむことができます。

光の一般的なアクションとして「反射・吸収・透過」より複雑になったものが、次に紹介する「屈折・干渉・回折・散乱」です。

光の屈折(くっせつ)

光が、ガラスや水などの物質の境界を、斜めに通過するときに起こる、光の進路が変化する現象で、ニュートンのプリズムを使った実験は、この光の屈折によるものです。

短波長は、長波長より大きく屈折する性質があります。空中の水滴が、プリズムのような働きをして、太陽光をスペクトルに分けます。

雨上がりに、虹が見える現象も光の屈折によります。

光の干渉(かんしょう)

シャボン玉の表面の色は、さまざまな色が流れるように見えます。

これは光の波の山と山が足されて振幅を大きくしたり、山と谷が合わさって振を小さくしたりすることで起こるのです。(光の干渉は、貝殻の内面やオパールなどの宝石にも見られます)

光の回折(かいせつ)

光には、波の性質があるので、障害物があると回り込み、波が広がって進みます。この現象を回折といい、長波長ほど回り込みは大きくなります。

(コンパクトディスクの表面は、多数の溝があるため、光が回折して広がり、その光が、干渉することによって、さまざまな色が見えます)

空はなぜ青く、夕焼けは赤いの?

散乱現象といって、光が小さな粒子に当たって、さまざまな方向に散る現象により、空が青く見えたり夕焼けが赤く見えているだけなんです。

散乱は、光の波長が短いほど強く、光の波長が長くなると弱まります。

 昼間、大気中の気体に当たった太陽光は、散乱されて、短波長の青い光が、天空を満たすため青空が広がります。

夕方になると、太陽が低くなり、 大気で散乱される青い光が減り、散乱の影響を受けにくい長波長の赤い光が、空を満たすため、夕焼けが広がります。

光源の種類

自然光源

光源の種類には自然光と人工光があり、同じ色でも光源の違いによって見えが変わります。

太陽光は大気中での散乱により、特に短波長が大きな影響を受け、地表と大気圏外では大きな違いが出ます。

・光源は、自ら光を発するもので、自然光と人工光に分類されます。

・自然光源は、自然の光である太陽光をいいます。

太陽光は時間や場所で分光分布は異なり、1つの分光分布で示すことはできませんが、どの波長もほぼ偏らず含んでいるため白色光に見えます。

人工光源

人工光源は、白熱電球の熱放射や蛍光灯などの放電に分類されます。

照明による物体の色の見え方を演色(えんしょく)といい、その色の見え方を決めている光源の性質を演色性と呼びます。(光源の特徴が物の見えに影響を与える効果があります。)

光の標準は太陽光であり、自然で見た状態と同じような色が再現できる光は、演色性がよい光源といえます。

演色性は、自然光に近い測色(そくしょく)用の照明を基準に100とし、ここからの差を数値化したものを標準演色評価数(Ra)と呼んで、この数値が小さくなるほど演色性が悪いことになります。

光源が変化すると色も変化しますが、高彩度の色では変化は起こりにくく、低彩度の色で変化は起こりやすくなります。

光の色は光を発する物体の色温度によって異なり、K(ケルビン)という単位で表します。

・ろうそく……………………・1920K

・白熱電球…………………2800K

・電球色蛍光ランプ(L)…2800・3000K

・温白色蛍光ランプ(WW)………3500K

・白色蛍光ランプ(W)………4200K

・昼光…………………5000K

・昼白色蛍光ランプ(N)……5000K

・昼光色蛍光ランプ(D)……6500K

温度と色の変化

ー般に3000K以下の光源は「赤み」がかり、色温度が上がっていくと、「赤」から「黄」、「白」(昼光5000K)へと変化します。

さらに温度が上がると「青白」になり7000Kを超えると「青み」を帯びた色になります。

色温度が低い「赤み」がかった長波長の光は右上がりの分光分布になり、色温度が高い「青み」の短波長の光は左上がりの分光分布になります。 

気に入って買った服を帰ってきて自宅または日中の戸外で見た時、買った時の色と少し違って見えた、という経験をしたことありませんか?

洋服は同じであるが、照明光源と太陽光とかで光(光源の分光分布が異なるため)の違いで色が違って見えるのです。

物は光(光源)の種類によって色が違って見える

物は光(光源)の種類によって色が違って見えるということは、そのもの自体に色が付いているわけではないことを語っています。

同じ照明光の下でも物体の種類によって見える色が異なることもあります。それは、その物体の持つ特性が最終的な色を決める要素として機能しているからです。

光、視覚、物体の3つの要素が重なる領域で最終的な物体の色が決まるのです。光源、視覚(脳)物体を物体の三要素とよんでいます。

光と色の見え方

自然の中で見ることができる虹

夏には絵にかいたような青い空に虹を見ることができます。そして虹をはっきりと見ることができるのは数分です。

虹は空気中の水滴がプリズムの役割を果たし、光が各波長に分光され、外側から「赤」・「燈」・「黄」・「緑」・「青」・「青紫」・「紫」の虹の7色になります。

虹を見ることのできる時間や場所、状況をを知っていると、虹を見つけるのが楽しくなります。

虹って、見ることができたらとても嬉しくなりませんか?

虹を見ることができるのは太陽が傾いている朝や夕方が多く、太陽が真上にあるお昼ごろにはほとんど見ることができません。

夏は、にわか雨や夕立(ゆうだち)と呼ばれる短い時間だけ降る雨が何回もあります。雨が降ったと思ったらすぐに晴れますね。それが、虹ができる条件とぴったり合っています。

虹が出ている時、出てくる前はほとんど雨が降っています。雨は高い空の上では、小さな水や氷のツブになっていて、そのツブは空気中にもフワフワと浮かび、太陽の光を反射させて虹の光となります。

雨となるまで大きくなれなかった水のツブが空気の中で泳いでいるのです。

虹ができやすい雨というのは降っているのかどうかわからないと思う霧雨(きりさめ)で、太陽が見えているときとなります。

太陽が見えていて、東がわで雨が少し降っているときに良く見ることができます。自分のいる場所が晴れているときが、あざやかな虹を見ることができます。

 滝からみることができる虹

山の中にある滝(たき)を見たことがありますか?よく晴れた日に滝を見ると虹を見ることができます。

虹を見ることができるのは、太陽の光と霧雨(きりさめ)なのですが、滝が崖の上から下の川に向かって落ちるとき、水がはね上がり、そのまわりには小さくくだかれた水のツブが、空気中にたくさん広がっているので、雨つぶの役割をしてくれます。

滝の虹は、ふつうに見える主虹(しゅこう)とそのまわりにうっすらとある副虹(ふくこう)を見ることができます。

自然ではないけど見ることができる虹

水たまりのあるところに虹色が見えることがあります。水の上に落ちた油は水と相性が悪く混ざらないので、どんどん広がって薄いまくになります。

虹色のようにいくつもの色が混ざっています。それは、油なのです。車のガソリンやオイルが少しだけ水のある場所に落ちて虹色に見えることがあります。

薄ければ薄いほど、色が良く見えるようになり太陽の白い光を反射させて虹色に輝くいて見えるのです。

また、シャボン玉は水たまりにある虹色と同じしくみでできています。シャボン玉は、油がもとになっている洗剤から作ることができ薄いまくの泡となって大きく膨らんでいきます。

透明に見えているシャボン玉の中は、内側と外側で光を屈折しあっています。そのため、きれいに色がわかれずに混ざり合った光の色が見えます。

シャボン玉はだんだんと、洗剤の膜が下に落ちていってしまい、水だけになるので割れてしまうのです。

まとめ

色が見えるのは、物体に色が付いているからのではなく、物体に反射した光(光源)を視覚が捉えて脳で色に変換して色として見えています。

したがって、光(光源)の種類が変わると、物体の色も変わってきます。

虹が見えるのは、大気中に雨粒があり、太陽光線がそこに当たっているときです。夕方の雨上がりに東の空か、朝の雨上がりに西の空で見ることができます。

冬場だと太陽高度が低くなるので、日中に北の空に見えることがあります。

色を見ることができる3つの条件があるから虹を見ることができます。たくさんの虹を見付けて、幸せな時間を過ごしてください。

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