色彩学としての祈りの記憶
色は、単なる視覚情報ではありません。 それは、文化・信仰・身体感覚が織りなす象徴的な言語であり、古代から人々の営みに深く関わってきました。
このブログでは、色彩学の視点から、藍と茜、麻と亜麻に宿る色の記憶をたどり、死者を包む布の色が、今も人の感情を包み込む現代のカラーセラピーと続くつながりを探ります。
色を教える人、色に触れる人にとって、色の背景にある「祈り」と「技法」を知ることは、感性と知識の両輪を育てることでもあります。
目次
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古代エジプト──色彩と魂の儀式

古代エジプトでは、色は神々とのつながりを表す神聖な力とされていました。 神殿の壁画、神官の衣装、そしてミイラの包帯に至るまで、色には意味が込められていたのです。
🟦藍色──天空と魂の目覚め
紀元前4000年頃、藍染された布がミイラの包帯に使われていた記録があります。 藍色は天空・浄化・永遠性の象徴。 空気に触れて発色する藍染は、まるで魂が目覚める瞬間のよう。 死者が来世で神とつながり、浄化されて再生することを願う祈りが、藍の色に託されていたのでしょう。
🟥茜色──太陽と再生の祈り
茜色は太陽・生命力・守護の象徴。 ツタンカーメン王の包帯には、赤い根から染められた茜色の布が使われていたとされます。 それは、死者が再び光に包まれることを願う色── 太陽神ラーとの結びつき、そして魂の再生への祈りが込められていたのです。
🕊️白──亜麻布と神聖な包み
紀元前3500〜3000年頃(ナカダ文化期)には、すでに人工的なミイラづくりが始まり、白い亜麻布で遺体を包む習慣が確認されています。
亜麻(リネン)は麻よりも繊細で白く、神に仕える者の衣としても使われていた素材。 白はエジプト神話においても浄化・再生・神との合一を象徴する色であり、 死者が来世で神とともに歩む存在になることを願う意味が込められていました。
🌿象徴としての「白」
神官の衣装にも白い亜麻が使われていたことから、白は「神に仕える色」として認識されていました。 ミイラに巻く布も、単なる保存のためではなく、魂の旅路を守るための神聖な衣としての意味を持っていたのです。
染色技法──色を育てるということ

藍染は、葉に含まれるインジカンという色素を発酵と酸化によって藍色に変える技法。 水に浸けて発酵させ、空気に触れさせることで色が目覚める── これは、自然と時間が織りなす色の誕生であり、色彩教育においても「色の成り立ち」を伝える重要な要素です。
茜染は、赤い根を乾燥させ、煮出して染める技法。 地に根ざした生命の力が、布に宿るような感覚があります。
古代には、発酵を助けるために尿(アンモニア)や木灰(灰汁)が使われていました。 人と自然が協力して色を育てる──それは、色を祈りとして捧げる行為でもありました。
色彩の象徴性と身体感覚の融合

古代の人々は、色を感覚・信仰・儀礼として扱っていました。 色は、魂の状態を映す鏡であり、身体と心を整える力を持っていたのです。
藍は静けさ・浄化・精神性を、茜は情熱・守護・生命力を、白は再生・神聖・純粋性を象徴し、 それぞれが、人の内側にある感情や願いを映し出す色として用いられてきました。
染色の素材や工程もまた、身体感覚と深く結びついています。 藍は発酵と酸化によって色が目覚め、茜は根を煮出すことで力強い赤が現れ、白は亜麻布の繊細さと清らかさを通して、神聖な空気を纏います。
・藍色と女性性の象徴性
藍色は、静けさ・深さ・受容・内省といった性質を持ち、伝統的に「女性性」と結びつけられてきました。 夜の空、深い海、精神性、直感──それらは内なる世界を育む力としての女性性と響き合います。
藍染の工程も、時間をかけて発酵し、空気に触れて変化するという「育み」のプロセス。 まるで、見えないものを信じて待つ力のようです。 このような色の誕生は、内なる変容と外界との出会いを象徴しているとも言えるでしょう。
・善悪の象徴としての青
青は文化によって、善と悪、聖と魔、静と冷など、さまざまな象徴を担ってきました。
中世ヨーロッパでは、青が“魔女の色”とされることもあり、沈黙・距離・冷たさの象徴とされる一方で、 聖母マリアの衣の色としての青は、慈愛・守護・神聖性を表す色でもありました。
このように、青は二元的な価値観を超えて、多層的な意味を持つ色です。 それは、人の内面の複雑さや、感情の深層を映す鏡でもあります。
現代のカラーセラピーとのつながり

現代のカラーセラピーは、色が人の心や身体に影響を与えるという考えに基づいています。 これは、古代の人々が色に込めた意味や感覚を、科学や心理学の視点で再解釈したものとも言えます。
つまり、色彩の象徴性・文化的背景・身体感覚の融合が、カラーセラピーの土台になっているのです。 講師としては、色の歴史や文化的意味を伝えることが、セラピー的な理解を深める鍵になります。
おわりに:色が語る祈りの記憶
カラーセラピーは、色が語る祈りの記憶を、現代の人々の心にそっと手渡すようなもの。 藍染のように「空気と出会って目覚める色」、茜染のように「根から湧き上がる生命の色」── それぞれが、人の内側にある感情や願いを映し出す鏡なのかもしれません。
色を教える人、色に触れる人へ── 色は、今もなお、魂に触れる言葉として生き続けています。
🌿この学びを、次のステージへ
色の歴史や象徴を知ることは、セラピストとしての言葉に深みを与え、 講師として人に伝える力を育てる第一歩です。
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色と心理 × 学びと実践のスクール「虹輝心」主宰、原美保子です。
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